~ものづくり製造業のためのVEノウハウサイト~

ものづくりVE技術ナビ

06-6343-5847 営業時間 9:00~17:00
(土日祝日をのぞく)

ものづくりVE情報

難易度の高い一体化形状を実現してアルミ押出成形のコストダウンを実現

Before(改善前)

お客様は紙幣搬送システム機器の製造販売をおこなっており、紙幣を搬送するためのレール部は社外より調達するアルミ押し出し品を使用していました。
樹脂ではなくアルミが選定される理由は、強度と形状安定性のためであり、断面形状を中空にすることで材料使用量を減らし価格を抑える設計をされていました。
お客様が新規モデルを設計するにあたり、レールの購入価格を更に抑えたいご要望がありご相談いただきました。

アルミ押し出し品は、紙幣を乗せた樹脂ローラーが連なったチェーン状の連結体部品がアルミレール上を走る構造になっていました。
ローラー連結体部品の駆動はモーターと連結させたベルトが引っ張る構造となっており、アルミレールには以下のような構造が求められました。
・設備本体へ取りつけるための構造
・動くベルト部を逃がす構造
・紙幣を乗せたローラーが摺動性良く振動無く走る構造

既存のレールは上記条件と構造を満足させるために、左右二本の中空断面形状のアルミ押し出し品を後工程で一体になるよう組付けられており、2本のレールと組付け部品及び組付け工数が必要でした。

右と左の2本のレールを一体化して押出成形することでコスト低減が見込められる部品ですが、断面形状が複雑化して押出材にソリ・曲がり・変形が発生しやすくなるなど難易度が格段に上がるため、お客様の既存の調達ルートでは寸法公差を満たせない状況でした。

After(改善後)

紙幣を確実に搬送するレールとするために公差の難易度が高く、更に一体化することで断面形状が更に複雑化することで難易度が更に上がりました。お客様の調達ルートだけでなく、当社も日本国内で複数社のメーカーと検討しましたが、要求を満足に対応出来るメーカーはありませんでした。
そこで当社の海外ネットワークを生かし、韓国・中国・台湾・マレーシア・タイでメーカー探索した結果、車載部品等で高難易度形状・高い寸法精度で実績のある中国の優良メーカーが実現できることがわかりました。
自動車部品での品質基準をクリアした技術のメーカーの協力によって設計仕様を満たして部品の一体化を実現できました。
その後も新規モデルであることによる設計変更やそのほかの課題による設計変更が生じましたが、当社中国法人や協力メーカーと連携しながら都度ご満足いただける対応し、お客様の要望にかなう製品を実現することが出来ました。

改善効果

元々は樹脂部品を納入していたお客様であり、別件でのお打合せの際にレールについてのお悩みについてご相談いただき、課題を解決することができました。
お客様のご要望であった押出成形での一体化を実現し、断面形状の提案や試作を通じてお客様と一緒に検討し、ご採用いただきました。
結果的にお客様は新規モデルでレール部品を一体化することで20%のコストダウンを実現しました。

その他のものづくりVE情報はこちら

一覧で見る