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オフィス家具用椅子の材料提案で品質クレームを改善しVEの実現

Before(改善前)

オフィスシーティング(オフィス用の椅子)であったため、製品の特性としてデザイン性が重要であり、開発当初の仕様では透明度のあるグレースモーク色を指定色として量産することが必要でした。
要求仕様をクリアするために軟質PP(ポリプロピレン)を採用し量産を行っていましたが、メッシュ生地の種類によってはメッシュ生地が削れて切れてしまうという問題が数件発生しました。
さらに、現行品の軟質PPではランバーの腰部が固いとの意見がお客様から寄せられるようになり、改善が必要な状況でした。お客様の中で改善のためのプロジェクトチームを組み、VEを行うことになったため当社にご相談をいただきました。
当初は海外輸出品と国内用製品で仕様が異なっていましたが、歩留まりの問題やコストメリット、デリバリ管理の複雑さも改善するために今回のVEでは国内外共通の仕様変更で進めることになりました。今回のクレームの改善を機にすべてのグレードを標準化するため、様々な製品の仕様を考慮した検討が必要でした。

After(改善後)

 

日本ポリケムのWELNEXやエクソンモービルのVistamaxxなど様々な実績で信頼性のあるオレフィン系の軟質材や改質剤を検討しましたが、今回の製品はデザインが特殊でお客様の仕様を満たすためには現行採用されている材料では形状的に硬さの限界があり、更に柔らかくすることで離型が難しく、成型効率が落ちるだけでなく不良率も高くなると思われました。

PP+改質剤の投入などの提案材料の試行錯誤、試作を行いましたが、満足いくものが出来ませんでした。
インサート成型する1次側のフレームがPP-GFであり、2次側の材料との接着強度の問題がありオレフィン系が必要不可欠でした。
また、グレースモーク色の表現が難しく透明度の問題はお客様の中で仕様変更していただき、異業種である自動車の内装部品で実績のあるM社のTPOを紹介して検証しました。
材料的には特殊なグレードではなくデリバリー性が良く、材料としても扱いやすいため提案しました。
強度試験とお客様の海外部門の了解を得て変更する運びとなりました。

改善効果

1:デザイン的なこだわりで採用をしていたグレースモーク色の透明材料については、お客様に仕様を変更していただき、硬さの問題は改良できたことをご評価いただきました。
2:A硬度70度と材料特性的に柔らかくなった半面、傷つき性とひっかき強度が劣ることを懸念していましたが、耐久テストに合格し採用いただくことになりました。
3:製品価格的には成型サイクルが伸びたことで製品価格への貢献は出来ませんでしたが、クレームの発生した使用上の改善を実現できたため、海外から高評価をいただくことが出ました。
4:今までTPU(ポリウレタン系熱可塑性エラストマー)を採用していた部品に横展開を行うことができるVE提案であり、強度的にはどうしても劣るがコストメリット、成型性の改良を実現できるため、他の製品でも検討進めていくことになりました。

オフィス家具だけでなく家電や自動車、産業機器など様々な業界でVE提案をしている当社だからこそ他の業界で使われている材料を活かしたVEを実現できました。

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