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布製BOXを防水化しつつ海外調達した事例

Before(改善前)

ソフトボックスを生地で製作したいが、他社類似製品の差別化を図るため、防水仕様にしたいとのご要望がありました。
生地表面は、PUコーティング(ポリウレタン)しており撥水仕様になっておりましたが、ミシンで生地に針をさす縫製工程の特性上、どうしても浸水してしまう状態でした。
(実際に防水、防雨試験をお客様立ち合いのもとで実施して検証を行いました。)
縫製で穴を空けるという製品特性を考慮した上で様々なアイデアを検討しました。ミシン糸は撥水仕様を使用する、ミシン針の径を細くして生地に空く穴を小さくする、箱浸水は仕方のないこととし、箱内部にナイロン製等の袋を設置する、箱内部の荷物をぬらさないために荷物を底上げする脚をつける、フタ部分のみを異素材を使用するなど様々な案を検討しましたが、コストが合わず断念し、「価格を上げずに浸水対策」するVE提案が必要でした。

After(改善後)

身の回りのモノで、防水仕様の物を検討し、傘の生地と生地の縫い合わせ部分を確認しました。他にも、室外で使用する、テントやスキーウエア、レジャーシート等を調査すると、ビニール傘やカッパも同様の縫い方で防水性を担保していることがわかりました。
通常は、生地と生地を合わせて2重に重なった部分をミシン縫いするのに対し、生地と生地を合わせてさらに、折り返し輪っかを作り、そこを縫うというようにしていました。ほんのわずかな手間を加えることで浸水経路が絶たれるため、時間もさほど通常縫いと変わりなく浸水を防ぐことができます。
実際、ナイロンの生地で通常縫いしたものと、浸水防止の工夫をした縫い方をしたものを作成し、試験をしてみました。結果は、通常縫いは生地と生地の隙間、ミシン針で開いた穴からの浸水が確認されましたが、浸水防止の工夫をした縫い方はミシン針の穴からの若干の浸水はありましたが、輪っかが胆になっており裏側への染みこみはありませんでした。
今回の製品であるソフトボックスは、箱外側が濡れた時に、箱内の荷物が濡れなければ良いとの仕様のため、裏側への染みこみ無しは要件が満たされたことになります。

改善効果

お客様としても縫い方について試験結果も含めて確認いただき、高評価をいただきました。
さらに浸水対策を強化するため、フタ部分と本体部分の形状を工夫することにより防水対策を実現することができました。
汎用的な技術を活用して要求仕様をクリアすることができるようになったため、グローバル調達が得意な当社のネットワークを活用して海外調達を実現しました。

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