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工程スピードアップにより生産性を向上することでコストダウンを実現

Before(改善前)

今回ご紹介する、工程スピードアップにより生産性向上とコストダウンを実現した事例は、家庭用エアコン部品における事例です。こちらの部品は月産約2万本、年間生産数量は23~24万本となるもので、お客様の完成品の中でもメインの部材となるものでした。そのため他社との価格競争が激化する中、お客様にとっては製品原価を一円でもやすくして販売価格を下げる事で価格競争に勝ちシェア拡大を図りたいと考えており、当社にとっても商権確保に毎年のように価格調整で苦慮する部品でした。特に近年海外購入部品への共用化が加速しており、本部品も対象となっている中で毎年合理化検討を進めてきましたが更なるコストダウンが必要な状況でした。

After(改善後)

今回の部品は構成として、ホース成形+射出成形→組立・梱包→出荷の順で過去に組立工程で工数の改善を行った為、検討の結果、ホース成形の工程におけるサイクル短縮によりコストダウンを実施いたしました。

具体的な手順としては、まず全体象の把握から行い、それぞれどの工程にコストがいくら掛かっているかボトルネックの抽出を行いました。その中で、ホース成形の費用がコスト構成の中で90%を占めており、ここに注力して合理化検討を進める方向となりました。
次のステップでは、更にホース成形の工程を細分化し、材料費、押出加工費、後加工費、副資材、運賃の中から主に原価比率が高い材料費(比率25%)、押出加工費(比率65%)に絞り、合理化を進める事にしました。材料に関しては他類似部品の共用材料という事もあり、評価・試験に工数が掛かる為、押出加工費に重点を置いて価格低減に努めました。

またサイクル短縮としては品質を考慮し4パターンで設定し、それぞれ試作を行い外観レベルの確認と品質懸念事項など、どのレベルで量産化を行うか顧客と一緒になって評価・検証を重ねてきました。検討結果としてLV.1からLV.4の中で2段階のレベルで量産化する事ができ、コストダウンを実施できました。品質が不安定では量産できませんので、サイクル短縮と品質確保のバランスが非常に難しく何度も試作を重ねる事となりました。
初期段階においては大きな品質トラブルはありませんでしたが日々の生産の中で端面カットのばらつきが発生しましたが、工程内で管理基準を設けることで、「品質の安定化」と「コストの改善」に寄与する事が出来ました。

改善効果

こちらの効果としてはまず生産性が2%弱向上したことが挙げられます。こちらの評価項目としては引張り性能・屈曲性能・耐寒性能・対扁平性能がありこれら全てクリア、従来品と遜色ないレベルまで落とし込みができました。

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