~ものづくり製造業のためのVEノウハウサイト~

ものづくりVE技術ナビ

06-6343-5847 営業時間 9:00~17:00
(土日祝日をのぞく)

ものづくりVE情報

工法転換して応力ムラを改善した射出プレス成型事例

Before(改善前)

自動車業界のトレンドとして、ナビやエアコンの操作部分に大型液晶パネルを設置し、タッチ操作を行うユニットが搭載される車種が増えていました。
しかし、衝突事故が発生した際に運転者の頭部が大型液晶パネルにぶつかるリスクがあり、パネルが割れると頭部に大怪我を負ってしまう危険性がありました。そこでパネルに使用される材料としては強い衝撃が加わった際に割れにくい素材であるポリカーボネートが指定されていました。
ポリカーボネート樹脂を使って成形加工を行う場合に1つ問題がありました。金型内に樹脂が流れる際に、流動性が良くないため、圧力をかけて金型内に樹脂を充填させる必要があり、成形部品に応力(ストレス)が溜まってしまうことがあります。
部品単体で見ると応力は見えませんが、パネルの背面に液晶が点灯している状況下では、偏光サングラスなどをかけてパネルの液晶部を見た際に、応力部分が虹ムラのように見えるという不具合が発生していました。
パネルの応力を軽減する工法として、金型の表面温度を上げ、樹脂が流れやすい状態に保ち、充填後に急激に冷却を行うヒート&クール工法も有効な手段でした。しかし、ヒート&クール成形用の設備・金型が必要となる上、1ショットサイクルが伸びることから部品加工費UPに繋がるため、安価な加工方法がないか、お客様からご相談いただきました。

After(改善後)

応力ムラを改善するためには、成形樹脂を充填する際に、樹脂にかかる応力を軽減することが重要となります。そのため、金型を少し開いた状態で成形し、充填中にタイミングを見て金型を締める射出プレス工法を提案しました。
この工法を採用することで、樹脂が金型を流れる際に、キャビとコアの空間を拡張することができるため、流動性が悪いポリカーボネート樹脂にかかる応力を軽減することができます。その結果、偏光サングラスをかけて点灯している液晶部分を見た際に虹ムラのように見える現象を軽減することが可能となりました。

改善効果

改善効果としてはヒート&クール工法が高いものの、費用対効果の点から、当社のVE提案をご採用いただくこととなりました。
様々な加工方法に対応できる当社だからこそ、ヒート&クール工法と射出プレス工法を比較したVE提案が可能であり、お客様が求めるVE提案が可能でした。

その他のものづくりVE情報はこちら

一覧で見る