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2色成形への工法転換により大型パネル向けピアノブラックを実現

Before(改善前)

車メーカーのトレンドとして、大型液晶パネルで、タッチ操作かつ表面の光沢が高いピアノブラック仕様が増えてきております。「ものづくり」の観点で大型パネルのピアノブラック仕様を作ることを考えた場合、非常に難易度が高く、工法の選定次第では非常に高い不良率に発展してしまい、コスト・品質・供給において大きなリスクを伴う危険性があります。
例えば、塗装を選定した場合ですと空気中や塗料の中に含まれているゴミを巻き込んで発生する異物不良や塗料(液体)の表面張力が原因で発生するフチ溜まり、塗膜が薄く、表面状態に微細な凹凸が発生してしまうゆず肌不良などの不具合が懸念されます。別工法として、プラスチックのシートに印刷を施し、フォーミング(賦形加工)・トリミング(切断)工程を経て成形金型にシートをインサートして樹脂を流し込むシートインサート成形という工法を選定すると、異物不良は発生しますが、フチ溜まり、ゆず肌そもそもの工程が長くなることから加工費の高騰が懸念されます。

After(改善後)

塗装およびシートインサートではなく、2色成形を採用・工法転換することでピアノブラック感を表現することが可能となります。具体的には、透明樹脂(金型は鏡面磨きが必要)の裏側に黒樹脂を成形することで、ピアノブラック感を表現することができます。
また、本工法を選定するメリットの1つとして、金型で形状を生成するため、塗装異物や表面張力が原因で生じるフチ溜まりなどの発生はありません。さらに2色成形は、シートインサート成形のようなシートへ印刷、フォーミング、トリミング、インサート成形などといった長い工程を必要としないこともメリットとして挙げられます。
なお、成形材料では達成できない表面硬度、AR・AFなどの要求がある場合は、塗装や蒸着、ホットスタンプ加工などでハードコートが必要となります。AGについては金型にシボ加工を施すことで表現することも可能となります。

改善効果

これにより、樹脂製の大型液晶パネル向けにピアノブラック仕様を、フチ溜まりなど不良が発生することなく安定した品質で供給できるようになりました。さらにシートインサート成形に比べて長い工程を必要としないことから、リードタイム短縮も併せて実現しております。

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