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リアルな金属調を微細加工生地と蒸着加工で表現した事例

Before(改善前)

高級車に搭載される部品であったため、デザインの品質が求められる部品でした。実際の金属を切削加工でスピン調にしたような表面処理を表現することが必要であり、さらに文字部分は夜でも視認できるように光を透過できる仕様にすることをご要望されていました。
実際に金属の切削加工で部品を加工すると非常に高額となり、文字部分については「O」や「P」、「B」などの閉塞箇所がある文字は切削加工では対応ができないという課題がありました。
また、「リアルマテリアル」という言葉も重要なキーワードとなっており、実際に金属をスピン加工した物と同等の見栄えを、プラスチックなどで安価に作りつつ、リアルな表現ができる方法の提案が必要になりました。

After(改善後)

金型にスピン加工を施して成形を行い、更にその部品に蒸着加工を施し、リアルマテリアルを表現するための工法を探索しました。
メッキも候補の1つではありましたが、「O」や「P」などの閉塞箇所に対してメッキ加工を実装することができないという課題があるため、蒸着加工+レーザーエッチングで表現する工法を選定しました。
蒸着工法の場合、プラスチック部品に加飾を施す際は、①アンダーコート(下塗)②蒸着加工③トップコート(上塗)が必要となります。その際に①のアンダーコートと③のトップコートにつや消しや着色材を配合することで金属の輝度や色味を調整することが可能であることを提案しました。
これらのパラメーターをお客様の要望に沿って何度も微調整を繰り返しながら対応を行っていった結果、お客様が求める金属感を蒸着加工で再現することに成功し、リアルマテリアルを表現することができました。
また、蒸着加工は信頼性試験の高温高湿関係の耐久性が弱く、金属調が白濁してしまうという不具合や、成形品のスピン加工の凸部分には塗装時に塗料が重力で垂れてしまい、塗膜が薄くなってしまうことで摩耗の耐性が弱くなるという不具合が懸念事項としてありました。これらも塗料の選定や塗装条件を見直し、調整を重ねた結果、無事に車載要求の耐久性試験をクリアすることができて採用に至りました。

改善効果

高級車にこの仕様を採用頂いたことで、同じ生地を使用した廉価版の部品でも同じ加工方法で製造することになりました。
蒸着の表現の幅を広げることにつながり、その後も蒸着を活用した部品の製造方法についてご相談をいただくことが増えました。
様々な加工方法を調達できる当社だからこそ提案できるVEの方法があるため、既存の方法にはない製造方法をご提案できました。

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